プールに飛び込んだ校長先生
かなり以前のお話で恐縮ですが、わたくしの会社では出勤簿代わりに「マイレポート」という用紙を従業員のみなさまに毎月配付しています。
従業員のみなさまは、毎日その用紙に、出社、退社時刻を書いて押印するので、日々目にします。
そのマイレポートを少しでも有効に活用するために、かなりの長期間、社員教育という大げさなものではなく、何か為になるお話を聞いていただきたいと思い、毎月、わたくしが話材を見つけては短文を記していました。
本日と明日は、そのお話の中から、引用させていただきます。
↓以下、記載文書を引用
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「プールに飛び込んだ校長先生」
今回は、ある素晴らしい中学校の校長先生のお話をします。私もこの話を聞いたとき思わず目頭が熱くなりました。
「ある中学校で校内プール大会がありました。二年生のクラスは四人ずつ選手を
出すのですが、あるクラスで三人は決まったもののあと一人が決まらないため、
クラスの悪がきが、わざと足の不自由な女の子を名指ししました。悪がきのいう
ことだから皆も反対しません。面白半分で、その女の子がいいと決めてしまい
ました。
当日になり、彼女はプールに飛び込みました。足が不自由ですからどんどん
遅れます。しかし、彼女は一生懸命泳いでいました。そのとき、背広のままプール
へ飛び込んだ人がいました。校長先生です。そして、校長先生が女の子の側に
行って、一緒になって泳ぎはじめました。最初のうちは、生徒たちは遅れた子を
野次っていました。しかし、校長先生が飛び込んで一緒に泳いでいる姿を見て、
生徒も先生も粛然として声もありません。ついには皆が万雷の拍手でずぶ濡れで
上がってきた校長先生と女の子を迎えました・・・」
これは非常に勇気のいることです。なにも校長がプールに飛び込んで偽善者ぶって泳ぐ必要はない、というような意見があるかも知れません。しかし、この校長先生は、この足の不自由な子が懸命に泳いでいる姿を見て、この子供をこのままにしておけないという止むに止まれぬ気持ちで飛び込まれたのだと思います。だから先生や生徒たちすべてに大きな感動を与えたのでしょう。
この話を聞いて、皆さんはどのように感じられたでしょうか。学校は知識や技術を習得するところだけではありません。とくに、人間としての人格形成に大切な小学校や中学校での教育は、人としての正しい行い、勇気ある行動とはなにかを教えることのほうが大切ではないでしょうか。
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↑以上、引用終わり
この「プールに飛び込んだ校長先生」は、故東井義雄先生のご本から引用させていただいたと思いますが、いま読み返しても胸にジーンとくるものがあります。
もし、この女の子の両親がその場にいたら、涙していたと思います。
そして、誰よりも大きな感動を味わったのは、足の不自由な女の子ではなかったでしょうか。
校長先生が身をもって示した無言の応援は、彼女のこれからの生涯を左右するほどの大きなエールだったのではと思います。