天干は去り易く、地支は去り難し


 前回の「年月は軽く、日時は重い」に続いて、今回の「天干は去り易く、地支は去り難し」も四柱推命の大切な原則のひとつです。


 天干は文字通り「天」を表し、地支は「地」を表します。
 四柱命式は天地の五行の相生相剋と、地支の刑冲会合が複雑に作用しあって、そこにひとりの人間の気質をとらえることができる他に比類のない学術的な占術です。


 さて、天の気は移ろいやすいものです。
 今夏も、つい先程まで夏の晴天であったものが、にわかに入道雲の暗雲が立ち込め、激しい雷雨となった日が何度かありましたが、そもそも天の気は変化変動しやすいものです。


 それに較べて大地は、天の気に変化の兆しがあってもなかなか変わろうとしません。
 今年は八月七日が立秋でしたが、お盆の頃までは関西では猛暑が続いていました。
 やっと最近、日中はまだまだ暑いですが、朝夕の風が涼しく感じられるようになってきたところです。
 天の気はすでに秋の準備が整っているのに、大地に秋の気配が本格的に訪れるのは、だいたい2ヶ月遅れの十月初旬の頃であります。


 四柱推命も天地の気に支配された人間の運命運勢を扱うものである以上、自然を手本として考えるべきで、ここに標題にあるように、「天干は去り易く、地支は去り難し」という定理が生まれたというわけです。


 ですから、たとえば男性で正偏財交集している命式や女性で官殺混雑している命式で、外妾の星の偏財や異夫の星の偏官が天干にある場合は、その凶意は軽く、かりに夫婦間や異性の間でトラブルが生じてもその害は軽いとします。

 それに反して、外妾の星や異夫の星が地支に出るような場合は、なかなか露見しなかったり、害は重いとして忌み嫌うわけです。

 
 また、人の性質をみる場合に、外面的な第一印象は主に月上の通変星でみて、内面的な本質は月支通変星でみるのが原則です。
 これも天干は去り易く、地支は去り難しの意味合いが含まれています。