「火土同根の理」は正しいか?

 
 四柱推命を勉強されている方、とくに泰山流を学ばれている方は、表題の「火土同根の理」という言葉を聞かれたことがあると思います。


 難しい理ではなく、火は土を生じますが、燃え尽きれば灰(土)になるということで、火と土を同一視することがあるということです。


 この理でとくに看命に大きく影響するのは、「通根」です。
 天干に戊や己がれば、辰、戌、丑、未の土の支だけでなく、火の支である巳や午にも通根するという考えです。泰山流の高名な先生のご著書にも間違いなくこのことは記されています。


 四柱推命で十二運というのがあります。
 日干からみて各地支の通根の程度を計る尺度として主に用いられていますが、なるほど、戊から巳を見れば建禄、午を見れば帝旺、また己から巳を見れば帝旺、午を見れば建禄となっています。
 丙と丁とまったく同じ十二運になっています。


 しかし、透派では戊や己の通根は、辰、戌、丑、未の四支のみで、巳、午には通根しないとします。
 どちらが正しいのか?
 長く泰山流を学んできたわたくしは、大いに戸惑いました。


 話しは少し逸れますが、わたくしの倅は、日干が己の午月生まれで、日支も巳です。
 火土同根の理で、己は午や巳にも通根すると考えれば、月令も当権で、月支の十二運が建禄、日支のそれが帝旺となり、日干はこれだけでかなりの身強になります。


 わたくしの倅は今年、高校三年になりますが、実態は大運も考慮してもまず身強とは考えにくいのが率直な印象です。


 わたくしの倅の一人の事実だけで、火土同根の理は間違いであるとか、戊や己は巳、午には通根しないと断定は致しません。しかしながら、合わない例があるという紛れもない事実があるということは申し上げてもよいかと思います。


 自然現象の山火事などは必ず樹木の燃えがらが炭や灰となって残り、やがてそれらは土になりますから、昔の人は火土は同根ということに違和感はなかったことと思います。


 しかし、よく考えてみれば完全燃焼というのがあります。
 十分な酸素があれば、燃え尽きて不純物(灰)が残らないということですが、現代では当たり前のことでも遙か昔の人は想像できなかったことでしょう。
 科学が進んだ現代において、四柱推命学における火土同根の理は一考の余地があるのではと思います。


 戊や己日の生まれの方は、火土同根の理で巳や午にも通根するか否かは、実に大きな問題となります。原命式になくても後天運で巳や午が巡って来ると南方火運で身が強くなるかどうか? 外格の従財格、従殺格などの方にはとくに深刻な問題となってきます。


 日干が戊や己の方だけでなく、それ以外の方も命式や後天運で戊や己と関わり合うことになるわけですから、この「火土同根の理」で戊や己が巳や午にも通根するか否かは大きな問題であることは間違いないと思います。