ある家出をされた息子様

 先日、大学一年生のご長男様が家出をなさったということで、そのお母様が鑑定相談にお見えになりました。


 大学に入られたけれど、どうしても行くのが嫌で引きこもりがちになり、ご両親の叱責が直接の引き金かどうかは定かでありませんが、家を出られて約二ヶ月になるというお話でした。


 四柱推命紫微斗数で調べますと、ご本人は日干、甲のお生まれで金水の強い命式。運の次第では精神不安に陥りやすい傾向が見られます。
 紫微斗数では辰宮命宮の太陰独主で、対宮(遷移宮)の戌宮には太陽独主となり、月日とも輝きを失う配置となっています。
 とてもナイーブで精神性の強いものを持っておられ、孤独に陥りやすい性質の方です。
 

 わたくしも今年高校三年になる息子がいます。
 恥ずかしながら、以前、高校を中退し、いまは通信制の高校に通っています。
 残念ながら、これまでじっと机に向かって勉強している姿を見たことがありません。
 息子の部屋を覗けば、パソコンでスカイプをしているか、ゲームをしているかのどちらかです。
 以前は、もっと勉強しなさいとか、先のお母さんのようにわが息子を何度か厳しく叱ったことがありましたが、現在はそのようなことはありません。


 と言って、決して放任しているというのではありません。
 もちろん気にはなりますが、子供の命式や命盤を見て、いまはいくら強く勉強のことを言っても、まず勉強に身が入らない運気であるというのを知っているからです。
 正印と偏印が交集している命で、現在の大運、その印星が非常に強くなっている時期だからです。
 ただ救いは、友達付き合いは以前と変わらず良いほうであると思えるので、勉強嫌いであっても友達がいて孤独にならないのは良いことです。


 わたくしの息子の場合は、強く叱責したり、厳しく接すれば家を飛び出すことはまず考えられませんが、精神的な病気になって伏せってしまうかも知れません。ですから叱ることは控えているというのが本音ですが、神理の勉強をさせて頂いたお陰で、子供の問題はわたくし自身の親の問題であると認識できるようになったのが大きいと思います。
 


 さて、元に戻りまして、先のご相談に来られたお母さんに申し上げたのは、江戸徳川の時代が約三百年続いた大きな一因は、どんな場合でも家督は長男が相続したことをお話致します。
 能力的に将軍の器でない長男であっても、親戚の御三家が後見役になったり、あるいは徳川家譜代の大名の老中が将軍の補佐をしたり守り立てて執政にあたりました。


 ですから、たとえご次男さんがおられて、そのご次男さんが優秀な方であっても、決してご長男を見捨てると言いますか、情けのない言動は慎むべきであると強く申し上げました。


 失礼ながら、どうもお母さんの言葉の端々に、母親としての温かみの情に少し乏しいところが感じられたからです。厳しく言えば、母親(父親も)は子供の身代わりになっても助けてほしいと思うのが親としての自然の姿ではないでしょうか。
 子供の安否が心配で夜も寝られないというなら、昔から行われているお百度参りでもして、何とか子供の無事を神仏に願掛けするのが親としての情けではないでしょうか。



 長男の生まれてきた役目は、まず家を継ぐことであると一神会で教えて頂いています。両親の面倒を見て、その家の雑事一切の世話をするのが長男の役目であると教えて頂きました。


 しかし昨今は、引きこもりや頼りない男子が増えて、「草食系」というようなお世辞にも喜べない装飾語が若い男子に付けられてしまいました。それどころか、親がいつまでたっても親離れしない子供の面倒を見ているような家庭が増えているのが現状で、まことに情けない世の中となっています。


 わたくしも偉そうなことを言える身分ではありません。わたくしも神理の勉強をしなければ、どうして頼りない子供(息子)を授かったのかが分からなかったと思います。


 この世に偶然はありません。
 子供のことで苦労するのも心配するのも、前生を含めてそうした種を親が蒔いてきたからです。
 

 この世は「自然淘汰の理」が厳然としてあります。
 わたくしたちは、年末大掃除をして、役に立たない不要なものはゴミとして捨てるのと同じように、 この世の中で役に立たない「家」は、この世を拵えた神様から見たら不要なものとして処分される運命となります。それが怖ろしい「断滅因縁」です。



 あるいは神様が定めた掟、つまり神理の法則に逆らったことをしたら断滅因縁を招くことも教えて頂きました。その典型的な例は、長男が養子に出たりした場合です。


 父親が若くして、肺病(肺ガンや肺結核等)で亡くなるとか、長男の夭折や先天的な難病はどなたの目にも何か問題があると分かりますが、わたくしの家や先のご相談に来られた方のように引きこもりなど社会になかなか適応できないお子様のことで苦労難儀をするのも、わたくしはこの因縁の現れのひとつであると思っています。


 そうしたときに、是非、覚えておいて頂きたいのは、「子供は来世の自分の姿」であるということです。一神会の管長様から教えて頂いたことです。
 不憫な子ほど親は可愛いとか申しますが、不憫な子の世話をするのは親としては当たり前ですが、一歩進んで、どうしてそのような子を授かったのかということを真剣に考えて頂きたいと思います。