心の病を治す第一歩


 かなり以前の、ネットワーク『地球村』の地球村通信(会員情報誌)に掲載された記事に、次のようなお話が紹介されていました。


 『インドのあるお話です。「頭の中でハエが3匹飛び回り、うるさくてたまらない。
 ハエを取ってほしい」と訴える主人を、奥さんは何人もの精神科医のところに連れて
 行きましたが、誰も相手にしてくれませんでした。そこで、精神の師である高名な
 ラジャーニー師のところへ連れて行きました。
  師は彼の訴えを聞き、彼の頭に耳を当てて、「うん、確かに音が聞こえる。わたし
 が取ってあげるから、しばらくそこで横になっていてください」と言いました。
  待っている彼が眠ってしまった間に、師は必死になって3匹のハエを生け捕りに
 し、ビンに入れて持って帰り、彼を起こしました。「あなたが寝ている間に、ハエを
 取っておきました。大変でしたが何とか取れました。これがそのハエです」と差し出
 しました。彼は、「本当だ。もう音が聞こえない。やっぱり、俺の言ったとおりだっ
 ただろう!頭の中にいたんだよ」と、奥さんや周りの人に嬉しそうに話し、それ以来
 完全に治って、すっかり元気になりました。』



 わたくしはこれを読んで、大変、心に残る内容だったのでコピーしておきました。

 
 わたくしが鑑定をさせていただいた人の中には、ご本人やご家族の方が精神的な疾患で苦しんでおられた方がこれまでに何人かおられました。
 自閉症の方をはじめ痴呆症の方などの介護やお世話は、経験した人でないとその苦労は分からないと思います。


 寝たきりの人の介護も大変ですが、身体は元気なのに精神的なケアが必要な人はもっと大変で、ご家族の方の心身の労苦は並大抵ではありません。
 精神的な疾患の人を直すのは現代医学でも、運命学でも、神学でももっとも難しいとされているからです。


 そう考えていたときに、上記のインドの話を読み、本当に苦しんで困っている人を受けとめるのは覚悟というか真の愛情がないとできないことだと痛感しました。


 現実の世界から遊離した心の人や被害妄想にとらわれている人、あるいはそこまでいかなくても、ちょっと普通の神経ではないなと思われる人が最近増えてきているように思います。
 ひと言で精神病、精神疾患と言っても症状はさまざまです。


 まずはそうした人の話を、「うん、うん」と頷きながら、真剣に聞いてあげるのが受けとめることの第一歩です。
 聞いてあげるだけでそうした心の病を持っている方は、安らぎを覚えるものと思います。でも聞く方は大変な根気が必要なことは言うまでもありません。


 医師や宗教家、あるいは占い師がそうした話をどれだけ真剣に受けとめて聞いてあげても、残念ながらその人の病はよくはなりません。根本的な解決(治療)は、家族の人がどれだけ親身になって自分のことのように思って世話できるかにかかっています。


 その厳しい現実を受けとめる人が家族(できれば親)にいたときに、人智を超えたはたらきが後押しをしてくれると思います。


 一神会の先生が以前おっしゃった言葉がいまの脳裏に焼き付いています。
 「家族の中で頭のおかしい人がいれば、その人が家の(よくない)因縁を一身に背負っている。」
 「見捨てるようなことをしてはダメですよ。」


 精神疾患は、心の病、頭のおかしい人です。
 精神分裂病というしっかりした病名が付くような状態になれば、ほとんど完治するのは困難だと言われています。
 心の病もほっておいたらだんだんと重くなりますので、まだ軽いうちに直してあげるための努力と根気が親を中心にご家族にあるかが問われています。


 その第一歩は、いわば家系の因縁の犠牲になった人をどこまで見捨てず、受けとめてあげられるかにかかっているといえます。