夫婦の絆


 熟年離婚が増えているということです。


  『同居期間25年以上の熟年夫婦の離婚は、ここ10年で2倍以上に増えています。
  同居期間30年以上に限ってみると3倍近くになりこの増え方は、離婚全体の増加
  率の2倍にもなります。しかも、そのほとんどが妻からの申し立てによるものです。』
  → http://www.sla.or.jp/check/rikonn0312.html (財団法人シニアルネサンス財団)


 熟年離婚が増えているということと、そのほとんどが妻からの申し出ということに、世の熟年亭主は心に留めておく必要がありそうです。


 四柱推命の鑑定をさせていただいて、夫婦の問題、離婚のご相談の割合はかなり多いですが、別れたい理由を伺うと女性側の主張のみで一方的に判断するのは片手落ちと思いますが、多くは夫のわがままと不倫と言葉の暴力がベストスリーのように思います。


 ただ、熟年離婚の方は上記理由もさることながら、子供が独立したことや社会的に自立して自分のやりたいことをしてみたいという願望追求がそうした行動に拍車をかけているのは間違いなさそうです。


 長年、家庭に縛られ我慢してきた妻が、子供の結婚や独立を契機として、離婚を亭主に迫る・・・、なんだかお昼のドラマ番組にありそうな話題ですが、現実にそうした熟年離婚が多いのではないでしょうか。


 〝絆〟という言葉は、わたくしの好きな言葉のひとつです。
 夫婦の絆、親子の絆、兄弟の絆、・・・、いろいろな絆がありますが、なかでも夫婦の絆ほど脆弱なものはないように思います。親子や兄弟は血縁という強い絆がありますが、夫婦はもともとは他人同士。
 絆は意識して保っていかないと、細くなったり切れたりしてしまいます。

 
 ところで、臨床心理学の権威である河合隼雄先生の著書「こころの処方箋」に、〝男女は協力し合えても理解し合うことは難しい〟とありました。
 これは男女の違い、夫婦の在り方を考えるうえで大変示唆に富む言葉だと思います。


 家のローン返済のために夫婦必死で働くとか、子供をいい学校に行かせるためとか、夫婦が共通の目標を持っているときはお互いに相当協力できるが、理解という点では命がけの仕事に匹敵するほど大変だとおっしゃっています。
 翻って考えますと、わたくしの場合などまさにそうですが、夫婦の会話のほとんどは、互いを理解するための会話ではなく、先ほど申し上げたような共通の目標や課題のことを話題にしているように思います。


 ですから、あるときこうした夫婦に共通した目標なり課題がなくなったり解消されると、とたんに夫婦の会話がなくなり、家庭内別居のような有様になってしまうように思います。(わたくしもいまから気を付けたいと思っています)
 

 夢もロマンもないことを申し上げて恐縮ですが、〝愛〟こそ強い絆と思っておられる方もあるかと思います。でも、〝愛と憎しみは紙一重〟という言葉もあるくらいですから、人間の感情は諸行無常です。
 また、“愛”と“好き”という感情を一緒にしておられる方も多いように思いますが、本当の愛は母親のわが子に対する無償の愛のように極めて強固なものですが、男女の恋愛という愛はどうもそのような無償の愛にはほど遠いように思います。


 年老いても夫婦の絆を維持しようと思うなら、夫婦の共通の目標を常に保ち続ける努力が必要なのではないでしょうか。


 最後に、世間にはいま申し上げたことにはまったく無縁の仲の良い、周囲からも羨ましがられるご夫婦もたまにおられます。
 どこへ行くにも夫婦一緒で、考え方や行動様式まで、果ては顔かたちまで兄妹のように似ているご夫婦をまれにお見かけすることがあります。


 このようなご夫婦は前生も夫婦で、生まれ変わってまた夫婦となったが、あまりに仲がよすぎるので子供が授からない(ほしくない)場合が多いようです。
 

 一神会では〝夫婦は二代〟と教えていただいています。
 つまり同じ人同士が夫婦になるのは二回までは認めていただけますが、三回目はありません。
 理由はお分かりだと思いますが、同じような価値観、行動様式の人同士は心の葛藤や摩擦を生じることがほとんどないので、魂の進歩向上が望めないからです。


 そのように考えますと、夫婦という絆を維持するために努力したり、ときにはストレスを感じたりするのも神様の御心に適ったことといえるのではないでしょうか。