元(もと)をかける


 〝元(もと)をかける〟というキーワードで検索すると、お茶漬けの「もとをかける」とか、スープの「もとをかける」という検索結果ばかりですね。(笑)
 ここでいう、元(もと)をかけるの元とは、〝元本〟とか〝元手(資本)〟という意味です。


 新しく事業や商売をはじめるにあたって、どんな事業や商売でも最初にお金を投資しなければなりません。
 たとえば商品販売ですが、まずは出店のために賃貸自己所有を問わずそれ相応のお金が必要です。
 インターネット通販のような無店舗販売でも、楽天などの大手通販のポータルサイトに加入するのには少なくない加盟料が必要ですし、独力でサイトを運営する場合でも、サイト作成費用や通信費がかかります。


 そして商品の仕入れ代金や、販売費用、商品を届ける運賃等、自分ひとりで商売をはじめるにもかなりの自己資金が要ります。
 いま申し上げたことは、新しくビジネスをはじめるのに当然必要な経費です。新事業や商売を新しくはじめるには、最低限の投資(資本)が必要だということです。


 ところで、表題の〝元をかける〟とは、いま申し上げた絶対に必要な資本金とは少し趣が異なります。
 どういったらいいか少し難しいですが、新しい事業や商売を開始するにあたって、〝目に見えない投資〟あるいは〝事業商売が発展するための先行投資〟というようにお考えいただけたらと思います。


 これも一神会の田畑先生からお聞きした話ですが、千葉浦安の東京ディズニーランドはリピート客も多く、テーマパークで一人勝ちの様相です。
 いまはどうか知りませんが、ディズニーランドがオープンする以前には、あのあたりには漁港もあったということです。
 そこに大規模なテーマパークを建設することは、漁業関係者には迷惑な話です。
 ディズニーランドの関係者の方は、近隣の漁業関係者の方たちにできるだけ理解し協力していただくために、連日のように酒宴を催し、まずは人間関係を築くために目に見えないお金、つまり元をかけたということです。


 まことに日本的な慣習にしたがった接待のしたかですが、どんな事業や商売でもできるだけ賛同者を得ることは大切です。
 憎まれたり嫌われたりするのは決して好ましくありません。
 ディズーニーランドの今日の繁栄は、コンテンツやソフト面の素晴らしさももちろんあるでしょうが、目に見えない投資、元をかけたということも是非知っていただきたいと思います。


 いま申し上げたことは、大企業だからできたので、小さな会社や個人で商売をするような場合はとても無理・・・、と思われた方もあるかも知れません。
 ごもっともなお話かとも思いますが、決して無理をする必要はありません。
 無理は〝理がない〟ということで、神様のおはたらきがいただけないということですからよろしくありません。


 大事なことは、「出さないと入ってこない」という「出す理」のはたらきのある世の中です。
 まずは、〝出す〟つまり〝元をかける〟ということを忘れないでいただきたいと思います。これを忘れると、いつかは〝元も子もなくなる〟ことになるかも知れませんので気を付けて下さい。